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『NOと言って生きるなら』馬場祐之介の稽古場日記

更新日:2019年9月15日

8/12

名前と顔を一致させるのが苦手です。4月になると100人以上の生徒を新しく覚えます。自分の名前を教員が覚えたかどうか生徒はかなり敏感だから、5月になれば生徒の前で座席表を見ることを憚って、記憶半分で。その子がいるだいたいの方向に名前だけは間違えないよう注意して指名未満の粗末な指名をしたことがあります。そしたら、ちょっとした沈黙あって「僕ですか?」というリアクション。わたし名前、間違えました?という焦りが横目で、座席表見ると間違えてはいなくて、なるほど言葉の矢印はすごく正直なのだとその時実感しました。

でも、普段の会話で複数を相手にしてる時って、真ん中に置いときますんでテキトーにつついてくださいって、酢モツな言葉をリリースすることもあります。あまり手がつかないようならこちらで引き取りますって姿勢で。



8/26

高校生の会話はとてもはやい。目まぐるしく話題が変わるし、だからなのか自分のターンに詰め込む言葉が多いなと思う。言葉のほとんどは軽めで、その中で相手にターンを引き渡すようなワードがあるんだろうと思う。ここで話題の高校生は今もちゃんとタピオカの話をしている人たちだけど、その「タピオカ」のことをたぶん僕はよく知らない。こんなことを考えていたら、元カレが8股していたことをインスタのDMから突きとめた話になってる。読点で話者がまた変わる。

身の丈で考えると、話題の主導権を握ることが戦略的になることも多いと思うのだけど、高校生はあまり気にしていないように見える。仲良く囲んだ酢モツをつついてる。誰がそれを頼んだかとか、それの味の評価もしないで、味を変えたければ勝手に一味振って、かってにかけんなよーみたいなリアクションはとりつつ、それもあまり気にしてない。たぶん。彼女たち酢モツ食べたことないだろうけど。



8/29

今回も引き続き、台本1枚目を繰り返しながら「会話」のかたちを探る作業。台本の言葉をもとにそれぞれが書いてきたアンサー=マイラインを振り付けに使い、全員が発話者と同じ言葉を持ちながら各自の身体をつくっていきます。


聞く方の作業を明確にするとそれに集中してしまったり(→俳優が充実感をもたないほうがいい)、それならばと発話者との関係を徹底すると異常な緊張感が漲ってしまったり。

モノローグに比べると、会話劇(書かれた言葉はモノローグだけれど)では観客・劇場と俳優たちが切り離される時間が際立つ?のかもしれないけど、その中でそこにあるものをどのように使っていくのだろう。


俳優どうしの距離や移動についても話して試す。僕は複数人でテーブルを囲むとき、その時の状況や自分の体調とかで座る位置をいろいろ考えます。座席に通されてから席に着くまでの若干の間が楽しい。バラエティ番組とかでたまにある、芸人の楽屋とかアイドルのバス座席の位置どりの話もけっこう好き。その平面が舞台上での配置とも関係してくるのか。




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